2014-04-06

本の顔 本をつくるときに装丁家が考えること

プロの装丁家の仕事ぶりが見える一冊。採用デザインとボツ案も掲載されているのがいい!

30年間も装丁の第一線で活躍してきた坂川栄治氏と坂川事務所による「装丁の教科書」というべき一冊。プロが一冊の本のデザインを完成させるまでの仕事の進め方、デザインの絞り込み方などが丁寧に解説されています。

180冊の本のデザインが紹介されており、ベストセラーになったもの多数。その中から、採用されたデザインとともに、ボツになったデザインも何点も掲載されているのが興味深いですね。とても面白い良書でした!


説明文:「「人と人とのコミュニケーションが装丁をつくる」それを30年間、第一線で実践してきた坂川栄治と坂川事務所による、装丁の教科書。今までに手掛けた数千冊の中から約180冊を厳選し、1冊の装丁ができるまでを図解します。作品紹介にはじまり、採用案と不採用案の比較、打合せ当時についての担当編集者のコメントや対談など、普段あまり語られることのない舞台裏に迫り、「装丁」を多角的にとらえた一冊です。」


本のデザインをする人であれば、当然作業に取り掛かる前に作品を読んでその世界観を理解しておくのかと思いきや、ゲラには目を通さないのだとか。その代わり、担当の編集者や作家さんと話をして、イメージや特徴を聞き出し、その場でキーワードやイラストを用いて大まかなイメージを決めていくのだそうです。

また、坂川さん今でもパソコンはまったく使わず、必要な作業は画面を見ながらスタッフに指示していくのだとか。そんな方がいるんですね!

この本には、デザインを手がけた有名な本が何冊も登場します。例えば、サリンジャーの作品を村上春樹さんが翻訳した「キャッチャー・イン・ザ・ライ」であったり、ジョブスの生前に発表されて話題となっていた「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」であったり、書影を目にしたことのあるものも少なくありません。

それらの表紙のデザインもすっかり見慣れていますが、そのボツ案が掲載されていて、それと見比べてみると、また違った面白さがあります。どのデザインでもいいような気もしますし、現行案がベストのように思えたりもします。どれを選ぶかで売上がまったく違ってくるでしょうから、大変な作業ですね。

装丁の本は好きで、これまで何冊か読んできましたが、この本はとても具体的で面白かったです。本好きな方、デザイン好きな方はぜひ!



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