富士山百画 100 Portraits of Fujisan
著名な百点の「富士山」の画集。狩野派から横山大観まで、様々な富士山が見られます!
富士山を描いた絵画の中から、特に著名な百点を選定して収録した画集です。本書の企画は、静岡・山梨両県の市町村によって2005年に発足した「富士山世界文化遺産登録推進両県合同委員会」によるもの。発売は2013年5月ですから、この直後に世界遺産登録が実現したことになりますね(おめでとうございます!)。
本書は、ハードカバーで横長の体裁になっています。富士山が描かれた作品がゆったりと紹介され、簡単な日本語の解説とともに、英語の解説文も添えてあります。この本が登録の後押しをしたかどうかは分かりませんが、海外の方へのお土産としても最適でしょう。お値段も「1,200円」とお手頃なのもいいですね。
真っ先に紹介されているのは、1069年に秦致貞が描いた「聖徳太子伝障子絵」(東博所蔵)です。聖徳太子が愛馬・黒駒で富士山を飛び越えている様を描いたもので、富士山を描いた作品としては現存最古なのだとか。さらに、「一遍上人絵伝」「伊勢物語絵巻」などの古典的な作品も紹介されています。
さらに、伝雪舟、狩野元信、伝俵屋宗達、狩野山雪、曾我蕭白、狩野探幽、円山応挙、長沢芦雪、与謝蕪村、池大雅、酒井抱一、葛飾北斎、谷文晁、歌川広重、黒田清輝、富岡鉄斎、橋本雅邦、川合玉堂、小林古径、堂本印象、梅原龍三郎、棟方志功、横山大観などなど、名前を並べただけで豪華!日本の歴代の絵描きは、みんなこぞって富士山を描いているかのようですね。
それぞれ時代や作者によって、表現の方法は違っていますが、いずれも富士山の神性が伝わってくるような作品ばかりです。信仰の対象であり、芸術の源泉である富士山の普遍的な魅力が伝わってきます。色んな時代の色んな画家が同じ山を描いたものが一冊の作品集にまとまる(しかもこんな豪華に)というのは、他の山はもちろん、他の画題でも簡単に成り立たないかもしれませんね。
色んな富士山が見られるだけで十分に楽しめますので、ぜひ気軽に手にとってみてください。