昭和モダン建築巡礼 西日本編
今から半世紀も前に建てられたモダニズム建築たち。この本を片手に巡礼したくなります
2006年に発売された、建築雑誌「日経アーキテクチュア」の人気連載をまとめた一冊。私はこの後に登場した『ポストモダン建築巡礼』を先に読んで、すぐにこちらを探しに行ったほど面白いシリーズですね。
本書で取り上げているのは、1945~75年に建てられた西日本のモダニズム建築たち。九州から関西まで、全部で28の建築物が写真・イラスト・テキストを交えて紹介されています。
説明文:「行きたくてもなかなか行けない地方都市の名建築、イラストとウンチクをたっぷり添えてリポート。坂出人工土地、小原流家元会館ほか計29施設。1945~75年に建てられたモダニズム建築を西から東へと巡礼。」
さまざまなタイプの建物がありますが、この時代のものはどこか大仰で荘厳なイメージがありますね。個人的にこの年代の建物は大好きですが、特に感動したのが「都城市民会館」「国立京都国際会館」「津山文化センター」など。いずれもどこか古さを感じさせながらも、今見ても全く古びないキッチュな新しさが感じられるものばかりです。
いずれこの本を参考に、西日本の建築を巡る旅にでも出かけたくなりますが、残された時間は決して長くありません。
この時代の建築物はすでに半世紀が経ち、取り壊しや建て替えの危機に瀕しているものも少なくありません。今の基準から見れば耐震設計も不十分でしょうし、耐用年数も限界に近づいてきていますが、文化財として認められて保存されているものもあるのですから、できる限り残していって欲しいですね。
建築に興味がない方も気軽に楽しめる一冊ですので、ぜひ手にとってみてください。
ちなみに、モダニズム建築については、この本の作者さんたちも登場している、CASA BRUTUS『ニッポンのモダニズム建築100』が分かりやすくてお勧めです。先にこちらを読んで基礎知識をつけておくと、より楽しめますよ。