2012-12-16
靴脱ぎ (日本人とすまい (1))
「靴を脱ぐ」という行為からみる民族史・建築史。意外な歴史が紐解かれます
「靴を脱ぐ」空間をテーマに、玄関・框(かまち)・床・縁・敷居・畳・絨毯・土間など、詳細な解説や古絵図の画像などから建築史的に解き明かしていきます。図書館で奥さんが見つけてきた一冊で、普段はなかなか読まないような内容なので、かなり斬新でしたw
日本家屋で靴を脱ぐ場所といえば、現代では「玄関」になります。しかし、庶民の住居に玄関が備えられるようになったのは、江戸後期~明治頃。それまでは縁側のような部分から直接出入りしていたのだそうです。貴族の邸宅ではそれよりも少し早く、牛車などを直接つけられる縁側部分が設けられ、それが玄関へと形を変えていったのだとか。
この玄関という言葉も、もとは禅宗の「幽玄への入口」というような意味合いで、それが禅宗へ入門することへ、さらに入口部分を指すように転じていったのだとか。寺院建築が原点だとすると、今のデザインというのもまた意味合いが違って見えますね。
…というような、ちょっとマニアックな建物の歴史が次々に紐解かれていきます。例えば、今の日本人も当たり前のようにやっている、畳の上でスリッパなどは脱ぐという行為の歴史や、日本へやって来た外国人たちは靴を抜いでいたのかどうかなど、こんな視点から見ている民族史も意外性があって面白いですね。
1996年に発売された本ですし、内容が内容ですのでなかなか手に入らないと思いますが、興味がある方は探してみてください。