2012-12-11
白洲正子 祈りの道 (とんぼの本)
神像・西国巡礼・十一面観音など、白洲さんのエッセンスが伝わる極上の一冊
白洲正子さんのお孫さん・白洲信哉さんによる、著作のまとめ本。2010年9月に発売になった一冊です。滋賀や奈良の各地を歩き、数々の名文を遺した白洲正子さんですが、代表作とされる『かくれ里』が今から40年以上も前に連載されたものであったりするため、気軽に手に取りづらいでしょう。
本書では、白洲さんの「祈り」に関する著作の中からエッセンスを抽出し、白洲信哉さんの解説や思い出話を交えて、読みやすく再構成しています。西国巡礼・十一面観音巡礼などに興味がある白洲正子初心者さんには最適ですね。
紹介文:「『西国巡礼』『かくれ里』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』…数々の名作随筆に綴られた紀行文を道標に祖母・正子の足跡を辿り、彼女が説いた日本人の信仰の本質を、いま、改めて問い直す。」
各章の内容を見ていくと、自然への思い・神像・西国巡礼・修験業者・十一面観音巡礼・かくれ里・風景から見えるもの・両性具有の美・地主神と仏教の二大聖地などが取り上げられています。能楽や骨董にも造詣の深い白洲さんですが、そういったものはほぼ取り上げず、巡礼や仏像など日本人の信仰にかかわる内容をまとめています。
対象が幅広く感じられるため「白洲正子とは何者か」という全体像を掴みづらく感じている方は少なくないと思いますが、そんな方こそ真っ先に本書を読むべきですね。私もここで取り上げられた作品はほとんど読んでいるはずですが、この本は新鮮に楽しめましたし、すぐにでも再読したくなりました。