2012-12-05
なるほど!「藤原京」100のなぞ
16年間のみ日本の首都だった「藤原京」について、分かりやすく学べる一冊です
7世紀末~8世紀のはじめにかけて、わずか16年間のみ日本の首都となった、奈良県橿原市の「藤原京」。飛鳥京と平城京の間の一時期だけという扱いをされるため、一般的な知名度は劣りますが、少なくとも「5.8km×4.8km」(まだ確定していません)という巨大な都でした。
本書では、そんな藤原京についての100の疑問を挙げていくことで、その全体像を明かしていこうと試みています。その内容は、名前の由来・人口・大きさなどの基本的なところはもちろん、「藤原京で律令制は始まりましたか?」「藤原京は世界遺産の登録を目指しています!」など、ちょっと不思議な項目があったりします。
実際問題、まだ大きさすら確定していない段階ですから、不明な点も数多くあります。しかし、だからこそ古代の人々がどんなものを食べて、何を楽しみに生きて、どうやって亡くなったか、またどんな宗教観で、どんな仕事ぶりだったのかなど、興味はつきません。やや地味な感はありますが、身近に存在する藤原宮跡の広がりが、よりリアルに見えるようになるかもしれませんね。
なお、本書の編者として名を連ねているのは、橿原市・橿原市教育委員会・奈良県立橿原考古学研究所の3者です。藤原京は飛鳥とともに世界遺産登録を目指して運動を展開していますので、それの一環としての意味合いもあるのでしょう。この本を読めば世界遺産登録への後押しになる…かどうかは分かりませんが、少しでもこの時代の巨大な都について知ってもらうきっかけになるといいですね!