2012-10-09
竹内街道の四季―椿本九美夫写真集
推古天皇の時代に開かれた竹内街道。葛城市在住の写真家が美しく切り取っています
7世紀初頭の推古天皇の時代に開かれた官道「竹内(たけのうち)街道」。大阪府堺市から松原市・羽曳野市・太子町と通り、竹内峠を越えて奈良県葛城市の長尾神社へ至る約30キロの道を、地元在住のカメラマン椿本さんが丁寧に写した写真集です。
県境をまたぐ峠道を含む竹内街道は、奈良の葛城古道や山の辺の道に比べて、ウォーキングコースとしても観光ルートとしても、ややマイナーな存在かもしれません。しかし、二上山や當麻寺、推古天皇陵などが繋がる歴史ある街道で、自然や史跡が織り交ざった多様な表情が見られます。
二上山にたなびく雲がかかった写真や夕景、街道沿いの街並みなどは、私が普段目にしているようなものですが、さすがに優れた写真家のフィルターを通すと、また違って見えますね。また、桜や椿などが咲くだけで、何気ない風景が華やぐだけではなく、歴史の重さまでも感じられる美しいショットになっているのが感動的です。
自分が住んでいる土地(正確には隣町)が、こんなに素晴らしい風景の土地であることを改めて感謝したくなるような、素敵な写真集でした。