2020-05-01

大正~昭和の奈良の旅(国立国会図書館デジタルコレクションより)

大正~昭和の奈良の旅(国立国会図書館デジタルコレクションより)

国内で発行されたすべての出版物を収蔵している「国立国会図書館」。その一部はデジタルコレクションとして無料公開されています。その中から当時の観光ガイド本などを中心に、大正~昭和初期の「奈良」に関するものをご紹介します。

新型コロナウィルスの影響でお出かけできない状況が続いていますが、自宅でかつての奈良への旅を楽しんでみませんか?

※以下、書籍画像はすべて「国立国会図書館デジタルコレクション」から使用しています。


昭和5年の『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』

『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』は、昭和5年(1930)の観光案内本。近鉄の前身となった「大軌(大阪電気軌道)」(Wikipedia)の路線に沿って名所案内をしています。

現在の観光ガイドであれば「京都・奈良」でくくられることが多いのですが、戦前はこの本に限らず「伊勢神宮・橿原神宮」というコース設定も多かったようです。各地の天皇陵を巡って歩くことが推奨されていたことが伝わってきます。


『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』国立国会図書館デジタルコレクション-01

(25コマ目)1930年頃に撮影された「神武天皇御陵」の様子。木々が鬱蒼と生い茂っていて、今とはだいぶ雰囲気が違うことがわかります。前のページには「橿原神宮」の写真も掲載されています。橿原神宮の創建は明治23年(1890)のことです

『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』国立国会図書館デジタルコレクション-02
(23コマ目)橿原神宮付近のマップ。現代のものと比べると宮跡や天皇陵の扱いが大きくなっています。「石舞台 馬子墓?」「南淵先生墓」などちょっとした呼び方の違いも面白いですね

『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』国立国会図書館デジタルコレクション-03
(76コマ目)奈良西大寺付近のマップ。別ページには今はなき「あやめ池遊園地」のマップや、「生駒山上遊園地」の紹介記事などもあります

『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』国立国会図書館デジタルコレクション-04
(219コマ目)巻末には当時の路線図も掲載されています。鉄道好きな方はじっくりとご覧ください!


『新撰お伊勢まゐり大和めぐり』詳細国立国会図書館デジタルコレクションより


昭和15年の写真集『聖地大和 : 集印帖添附』

『聖地大和 : 集印帖添附』詳細)は、昭和15年(1940年)に、神武天皇即位紀元(皇紀)2600年にあわせて出版された写真ガイドです。

戦前の観光ガイドらしく、まずは「橿原神宮」の紹介から始まり、奈良県内の社寺を一巡りしています。写真が大きめで見やすく、どれも時代を感じます。現代との景色の違いを気軽に楽しめる一冊です。


『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-05

(9コマ目)「橿原神宮総合駅」つまり現在の橿原神宮前駅を写したもの。駅舎は現在と同じ形をしていますが、駅前ががらーんとしていて驚きます!

『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-06
(15コマ目)「菖蒲池古墳」と「岩屋山古墳」社寺に混ざってこの頃から古墳の画像も掲載されています

『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-07
(16コマ目)明日香村・橘寺の本堂を写したもの。よく見てみると、現在は向かって右手に聖徳太子の愛馬の像があったり、本堂に上がった左手に拝観受付の小屋があったりとだいぶ変わっています

『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-08
(18コマ目)「石舞台古墳」は囲いもなく、今よりもはるかにのどかです。説明文には「東洋に誇る巨石文化─はるか萬葉の二上山畝傍山をのぞむ」とあり、蘇我馬子の桃原墓と考えられるとの記述もみられます

『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-09
(24コマ目)「大神神社(官幣大社)」とある一枚。背後にご神体の三輪山が写っていますが、その手前の太鼓橋はどこなんでしょう?今でもある橋かしら?

『聖地大和 : 集印帖添附』国立国会図書館デジタルコレクション-10
(29コマ目)東大寺「大佛殿」を写したもの。80年も前の写真ですが、今とほとんど変わらないように見えるのがすごいですね!


『聖地大和 : 集印帖添附』詳細国立国会図書館デジタルコレクションより


昭和初期の奈良を写した『カメラの旅・奈良』

『カメラの旅・奈良』国立国会図書館デジタルコレクション-11
こちらも昭和15年(1940年)に刊行された『カメラの旅・奈良』詳細)。全体的に写真が多めで読みやすいです。昭和初期ののどかな奈良の風景が伝わってきます


大正時代を遡っていきます

『古美術行脚大和』国立国会図書館デジタルコレクション-12
『古美術行脚大和』詳細)は大正12年(1923年)に刊行されたもの。奈良の仏像の画像と説明が多数!貴重ですね。画像は52コマ目、当時は奈良博へ寄託されていた橘寺・日羅立像など。

和辻哲郎さんの『古寺巡礼』(青空文庫)が大正7年(1918年)の大和路への旅を書き残したものですから、その影響が伺えます。

『日本大観』国立国会図書館デジタルコレクション-13
大正11年(1922年)に刊行された画集『日本大観』詳細)。関西の名所を描いたもので、34コマ目から奈良の風景が登場します。画像は44コマ目の「奈良郊外」というタイトルの一枚。鹿もいれば牛もいます!

『大日本名所図会. 第1輯 第3編』国立国会図書館デジタルコレクション-14
大正8年(1919年)の『大日本名所図会. 第1輯 第3編』詳細)。大和国の名所を網羅した観光ガイドです。画像は47コマ目の奈良公園の茶店でくつろぐ旅人と鹿を描いたもの。大正時代もこんな感じだったんでしょうか?(笑)

『日本名勝旧蹟産業写真集. 近畿地方之部』国立国会図書館デジタルコレクション-15
大正7年(1918年)に刊行された『日本名勝旧蹟産業写真集. 近畿地方之部』詳細)。この時代の写真はかなり貴重でしょう。54コマ目から奈良で、掲載した写真は65コマ目の「飛鳥の安居院」。現在の飛鳥寺を写したものですが、今とはだいぶ様子が違います

『近畿名所一日の遊覧』国立国会図書館デジタルコレクション-16
大正7年(1918年)の観光ガイド『近畿名所一日の遊覧』詳細)。一日で回れる名所ガイドといった内容で、「葛城登山」「紅葉の竜田」「奈良の古都」などの紹介もありますが、かつて大阪・天王寺にあった「新世界ルナパーク」の姿と、まだすっきりとしている「天王寺公園」の画像などが面白いです(25コマ目)。大正時代の観光気分を味わってみてください!


■国立国会図書館デジタルコレクション

HP: https://dl.ndl.go.jp/






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