2012-06-14

姫神さまが愛した花『ささゆり園』@大神神社(桜井市)

姫神さまが愛した花『ささゆり園』@大神神社(桜井市)

桜井市の『大神神社』境内でこの季節に公開される「ささゆり園」へ行ってきました。奈良市内の摂社『率川神社』に笹百合を奉納する「三枝祭」の目前となり、とても美しく開花していました!


参道脇の斜面に「ささゆり園」があります

奈良県桜井市にある『大神神社(おおみわじんじゃ)』。大和の国の一之宮であり、日本最古の神社と呼ばれる歴史ある神社です。


古くからこの一帯では「笹百合(ささゆり)」が自生し、この地に住んだ「媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」が、狭井川のほとりに咲く笹百合の姿を特に好んだとされています。しかし、環境の変化などから自生は難しくなり、現在はささゆり奉仕団という方々が育てたものが、境内の「ささゆり園」で公開されています(ご神花「ささゆり」開花状況)。



ささゆりについて

『古事記』によりますと、ささゆりの古名を「さゐ」といい、この三輪山麓にはたくさんのささゆりが咲き誇っていたと記されています。しかしながら近年は、観賞植物の乱獲、また環境の変化によって、往古から見られたささゆりの自生は大変難しくなっています。

この事を憂慮しまして、当神宮篤農家の信仰団体である「豊年講」は平成四年に有志によって「ささゆり奉仕団」を結成し、かつてのささゆり咲き匂う三輪山を復活させようと志されました。そして、より確実に環境に適合する種子からの育成栽培に取りかかりました。難しい技術と手入れなどに大変な労力を要し、ようやく花芽が付きはじめ、今年も二千本の開花が見込まれています。

努力を惜しまず育成した甲斐も実り、本日はその奉仕団の皆さんのご案内によって「ささゆり」をご披露いたします。


境内の説明文より


ささゆり園は、宝物収蔵庫の脇に入り口があり、参道のすぐ左手の斜面になるのですが、普段はほとんど目立ちません。この日は「見頃です」という表示があり、見事な大輪の花が開花していましたが、花の一株ずつを十分に間をあけて植えているため、咲き乱れる…というような群生ではありません。その分だけ、華やかなささゆりの花それぞれをじっくりと眺めることができました。


ささゆり園@大神神社-01

桜井市にある、大和の国の一之宮・大神神社。この日は平日のお昼前にお参りしましたが、かなりの数の参拝客でした

ささゆり園@大神神社-03
拝殿から向かって左手の方に進むと、宝物収蔵庫の脇に「ささゆり園」が登場しています。無料で拝見できます。私はここを見るのは初めてでしたが、まさかこんな場所にあるとは思いませんでした

ささゆり園@大神神社-04
境内の案内。乱獲や環境変化によって、三輪山麓のささゆりは自生できなくなってきていますが、有志の尽力によって二千本の開花が見込まれるまでに復活しているとか。素晴らしい活動ですね!

ささゆり園@大神神社-05
大神神社のささゆり園の様子。ちょうど笹百合が満開で見頃を迎えていましたが、群生するような花ではないようで、遠目にはどこに咲いているのか分からないような状態です。メインの参道のすぐ左手の斜面一帯に植わっているのですが、普段は全く気づかないでしょう

ささゆり園@大神神社-07
大神神社・ささゆり園の笹百合。大きくて気高い姿です。古くは、三輪山麓の狭井川周辺にこんな美しい笹百合が咲き乱れていたというのですから、さぞ壮観だったでしょうね!

ささゆり園@大神神社-06

ささゆり園@大神神社-08

ささゆり園@大神神社-09
ささゆり園は、斜面に沿って一周できるように整えられています。花の密度は濃くはありませんが、ゆったりと見て回れるのがいいですね


笹百合といえば『率川神社』の三枝祭です

大神神社の摂社であり、奈良市最古の神社とされる『率川神社(いさがわじんじゃ)』では、毎年6月17日に「三枝祭(さえぐさまつり)」が行われます。


これは、率川神社に祀られている「媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」が、三輪山の麓に住んでいて、狭井川のほとりに咲き誇る笹百合がお好きだったことから始まった神事で、御神花「ささゆり」が奉納されます。例祭の前日の6月16日には、大神神社からささゆりが贈られる「ささゆり奉献神事」(ささゆり奉献の行列)が、6月17日には本祭の「三枝祭」が執り行われます。



 率川神社(いさがわじんじゃ)は、大神神社の境外摂社で、推古天皇元年(593)鎮座という奈良市最古の神社として有名です。

 例祭である「三枝祭」は、「ゆりまつり」とも呼ばれ、大宝元年(701)制定の『大宝令』には、既に国家のお祭りとして定められ、大神神社で行われる鎮花祭(はなしずめのまつり)と共に疫病を鎮めることを祈る由緒あるお祭りです。

 ご祭神である「媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」は百合の花が美しく咲き誇る、三輪山の麓の狭井川(さいがわ)のほとりに、お住まいになっておられました。この縁故により後世、姫神様にお喜びいただくため、酒樽に「笹百合の花」を飾り、お祭りが行われるようになったと伝わっています。

 笹百合は古名を「佐韋(さい)」といい、このお祭りの名前も三枝(さいくさ)の花(笹百合の花)をもっておまつりしたことによります。三枝祭は平安時代には宮中から使いが幣物(へいもつ)を供え、神馬を献上するなど非常に重んぜられましたが、いつの間にか中絶していました。この祭典が明治14年に再興され現在に至っています。

 このお祭りの特色である神饌は古式による特殊神饌、また黒酒(くろき)(濁酒)・白酒(しろき)(清酒)の二種類のお酒を周囲を淡い桃色の笹百合の花で飾られた罇(そん)(脚つきの曲桶)・缶(ほとぎ)(台付きの壺)と呼ばれる酒樽に入れて、優雅な雅楽の音にあわせ神前にお供えします。大変美しい祭典として全国的にも有名で、この日は全国各地から参拝者が来られます。

 神楽では、巫女が美しい「三枝の百合」を手に持ち、神楽「うま酒みわの舞」を四人で華麗に奉奏します。


ささゆり園@大神神社-10

入口部分にあったパネルその1。三輪山とささゆりの関係などを記しています

ささゆり園@大神神社-11
入口部分にあったパネルその2。大神神社の摂社、奈良市の『率川神社』で行われる「ささゆり奉納神事(6月16日)」と、「三枝祭(6月17日)」の説明です

ささゆり園@大神神社-12
率川神社の三枝祭の様子



三枝祭の笹百合は宇陀市菟田野で育ちます

三枝祭で奉納される笹百合は、大神神社で育てられたものが使用されるのかと思っていたのですが、Facebookで教えていただいたところによると、宇陀市菟田野で育てられたものが届けられているのだとか。菟田野の大神地区の高台にある「神御子美牟須比女命神社(みわのみこみうすひめじんじゃ)」は、媛蹈鞴五十鈴姫命の母(玉櫛姫命)を御祭神としており、そのご縁もあるのでしょう。

下記のページから、詳しい様子が動画で見られます(後半部分)。ぜひご覧ください!

【動画7月11日番組】 宇陀の宇宙黒大豆、ほか ~NPO法人メディアネット宇陀~



大きな地図で見る


■大神神社(三輪神社)

HP: http://www.oomiwa.or.jp/index.html
住所: 奈良県桜井市三輪1422
電話: 0744-42-6633
主祭神: 大物主大神、大己貴神、少彦名神
創建: 不明(神話にも登場する日本最古の神社)
開門時間: 境内自由
拝観料: 境内無料
駐車場: 無料駐車場あり(お正月は500円)
アクセス: JR「三輪駅」から徒歩5分

※延喜式内社・二十二社・官幣大社など


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