【書評】『小金銅仏の魅力―中国・韓半島・日本』
小さなサイズの「金銅仏」の豊富な画像で紹介する『小金銅仏の魅力―中国・韓半島・日本
小さくて可愛らしい仏さまの画像が豊富！
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像高10～30cm程度の「小金銅仏」を集めた一冊。全部で約200体の小金銅仏が画像入りで紹介されていて、何よりも素晴らしいのは、全253ページの半分を、画像での紹介に当てていることです。写真集として眺めているだけでも楽しいですし、後半にはまとめて解説もついていますので、とても分かりやすいですね。
小さなサイズの金銅仏は個人の念持仏だったものが多く、比較的丈夫なため古い年代のものが数多く遺されています。日本に最初に伝来した仏像も、おそらくこのような形だったはず。奈良にはこのタイプの仏像が数多く遺されていて、奈良博や法隆寺などでお会いしているうちに、いつの間にか大好きになっていました（笑）
個人的には、仏像に対してこんな言い方はしたくないのですが、とにかくどれも「可愛い」んですよ。古い時代に、難しい素材で小さな仏さまを作ったこともあり、デフォルメ具合が絶妙です。決してフィギュア扱いするつもりはありませんが、身近に置いておきたくなる方たちばかりですね。
本書では、中国・韓半島・日本と、3つに分類して紹介されていますが、時代によって微妙な違いが分かるのがいいですね。三尊像タイプや集合タイプがあったり、単体でも台座付きだったりと、バリエーションが豊富なのが分かります。
小さな可愛らしい仏さまにグッと来てしまう方は、ぜひお買い求めください！
個人的に、以前から読みたかった仏像本『小金銅仏の魅力―中国・韓半島・日本』。ずっと欠品が続いていましたが、最近になってようやく店頭にも並ぶようになりました。愛らしいお姿の「小金銅仏」が写真入りで多数掲載されていて、素晴らしい内容なんです！
本書は、おおまかに中国・韓半島・日本と3つのパートに分かれています。このページは、五胡十六国時代（4世紀ごろ）の中国の仏さまたち。とにかく古い仏さまたちだけに、サイズも小さめで、インド的な雰囲気が感じられます
4～5世紀ごろの中国の小金銅仏。向かって右手の方が像高29.3cm、左手の方はわずか16.0cmです！小さいのに堂々とした風格が感じられますね。カラーと白黒ページが混ざりますが、画像が多くて見応えがあります
いずれも中国の北魏時代（5世紀ごろ）の仏さまで、像高は10cm前後。流れるような鰭（ヒレ）状の衣紋が特徴的です。個人的には、このタイプの造形が最も好きですね。大きめの像などでも同タイプの表現がありますが、お会いできるとテンションが上がります（笑）
向って右手は、愛知県・正眼寺蔵の「誕生釈迦如来立像」（像高8.65cm）。左手は、大阪府・野中寺蔵の「弥勒菩薩半跏思惟像」（像高30.9cm）。どちらも古くから伝わる造形です。小さくて素朴でユーモラスさを感じさせながら、ちゃんと高貴さは損なわないお姿ですね
日本の白鳳～天平時代の小金銅仏たち。色んなタイプの方々にお会いできます。奈良にはこの時代の、このサイズの仏さまが多数遺されていますので、意識してみると奈良博などの拝観がより楽しくなりますよ！
後半には、中国・韓半島・日本それぞれの小金銅仏の特徴などの解説があります。また、掲載された仏さまたちの詳細な解説もまとめてあり、展覧会の目録のような順番になっています。写真と解説を行き来するのはやや面倒ですが、どちらも本当に充実した内容です
ディープな『もっと知りたい奈良の仏像』も
この本の著者は、大和文華館の学芸員などを歴任された村田靖子さんです。本のタイプは違いますが、お会いできる仏像を網羅した著作もあります。テキスト中心ですが、よりディープで広範な仏像情報が掲載されていますので、興味のある方は合わせてどうぞ。
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