2010-12-01

柳生の里の武家屋敷『旧柳生藩家老屋敷』@奈良市郊外

柳生の里の武家屋敷『旧柳生藩家老屋敷』@奈良市郊外

奈良市柳生町の『旧柳生藩家老屋敷』へ行ってきました。
柳生藩1万石の家老「小山田主鈴」の旧邸で、歴史小説で有名な山岡荘八氏が住んだ邸宅が奈良市に寄贈され、関連資料が展示されています。歴史好きな方はどうぞ!


奈良でほぼ唯一の武家屋敷の遺構です

奈良市柳生町にある『旧柳生藩家老屋敷』は、1826年に国家老として奈良に移り、柳生藩1万石の藩財政の立て直しに成功した家老「小山田主鈴」の旧邸です。

1964年には、「徳川家康」などの歴史小説で有名な作家・山岡荘八氏の所有となり、NHK大河ドラマになった「春の坂道」の原作もここで構想が練られました。氏の死後、1980年に奈良市へ寄贈され、奈良県下でほぼ唯一の武家屋敷の遺構として、小山田主鈴、柳生藩、山岡荘八氏に関する資料館として一般公開されています


旧柳生藩家老屋敷@奈良市-01

奈良市郊外の柳生の里にある『旧柳生藩家老屋敷』。柳生藩の財政を立て直した家老「小山田主鈴」の旧屋敷で、立派な石垣が目印です。石垣近くには駐車スペースは無いので、下の通り沿いの民間駐車場を利用しましょう

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-02
1826年に国家老として奈良に移り、柳生藩1万石の藩財政の立て直しに成功した家老「小山田主鈴」の旧邸。1964年には作家・山岡荘八氏の所有となり、NHK大河ドラマになった「春の坂道」の原作もここで構想が練られました。氏の死後、1980年に奈良市へ寄贈され、奈良県下でほぼ唯一の武家屋敷の遺構として一般公開されています

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-03
旧柳生藩家老屋敷の「長屋門」。説明文には「正門の両側に長屋があり、中間部屋としていた。明治になって茶づくり部屋に改造されていたが一部を残して両はしの部分が取りこわされた。」とありました

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-04
長屋門をくぐって建物を見たところ。大きなお屋敷です。お庭のあちこちに「米蔵」「納屋」「平門」「物置」などの看板が立っていて、その配置が分かるようになっています

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-05

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-06


NHK大河ドラマ「春の坂道」の資料も

建物の中に入ると、意外と武家屋敷らしさというのは感じられず、古い一般家屋のような印象を受けます。内部には資料のパネル展示があったり、ガラスケースが並べられたりするため、古民家の風情も削がれてしまうのが残念ですね。

しかし、山岡荘八氏の小説のファンの方にはたまらない資料も遺されているでしょう。ここで構想が練られたという、1971年のNHK大河ドラマ「春の坂道」について調べてみると、こんな残念な記述が見つかりました。


今までの大河ドラマは本編は現存しなくても総集編は残っていることが多かった。しかし本作総集編含めて全話のマスターテープが他の番組制作に使い回された(当時の放送用VTRテープは高価だった為)。歴代大河の中で唯一、全く映像が存在しない作品といわれていたが、モノクロで録画されたVTRが寄贈され、現在では最終回のみNHKアーカイブスで視聴が可能である。

Wikipedia「春の坂道」より引用


私はこの時代に関する知識に乏しいので、柳生新陰流と聞いても、漫画「バガボンド」のことが思い浮かぶ程度ですが(武蔵に関する説明も少しだけありました)、歴史ファンの方が見ればもっと楽しめるでしょう。


旧柳生藩家老屋敷@奈良市-07

旧柳生藩家老屋敷の間取図。最も東に「殿様用客間」と「控の間」が見られますが、それほど武張った特徴もありません

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-08
台所の様子。カマドや米俵、大きなつづら、時代劇のようなかごが展示してあります

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-09
畳の部屋に、ガラスの陳列ケースが並べられ、資料が展示してあります。鴨居やふすまの部分にもパネルが並べられ、かなり雑然とした印象です

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-10
ガラスケース内には、食器や資料、武具などが展示してありました

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-11
1694年からこの屋敷を所有していた山岡荘八氏の資料も展示されています。「徳川家康」などの歴史小説で有名な方で、ここで原作の構想を練り、1971年にNHK大河ドラマとなった「春の坂道」では柳生ブームを巻き起こしたのだそうです

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-12
大河ドラマ「春の坂道」のポスター。主演は中村錦之助さんだったようですね

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-14
建物内には「興福寺 ~武蔵と宝蔵院流槍術との戦い~」というパネルもありました。柳生新陰流とも因縁が深い宮本武蔵を描いた漫画「バガボンド」のファンとしては嬉しい限りです。興福寺に胤栄の摩利支天石や、宝蔵院流槍術発祥地の碑があるなんて知りませんでした(今度見てきます)

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-18
旧柳生藩家老屋敷の殿様用客室の床の間。掛け軸には「平常心」とあり、武家らしさが感じられます

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-15
座敷からは庭園が見渡せます。主家のの北から東に広がる奥庭が見事でした。大阪の茶人・木津宗詮の指導を受けて作庭されたとされ、大小24基の灯籠が配置されていたそうです

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-16

旧柳生藩家老屋敷@奈良市-17


剣豪の顔ハメがある「旧柳生藩陣屋跡」

この日は、近くにある「旧柳生藩陣屋跡」にも立ち寄ってみましたが、今では顔はめパネルと石組みがあるだけで、それほど面白いところではありませんでした。

柳生家の菩提寺である「芳徳寺」なども近くにありますので、柳生の里へ行く際には、ぜひこちらと合わせてどうぞ!


柳生陣屋跡@奈良市-01

旧柳生藩家老屋敷から少しだけ離れた場所にある「柳生陣屋跡」にも立ち寄ってみました。柳生陣屋とは、柳生新陰流を生み出した柳生宗厳(石舟斎)の子・宗矩が父の菩提を弔う「芳徳寺」を建て、それに続いてこの地に建てたもの。1747年の火災によって全焼しました

柳生陣屋跡@奈良市-02
柳生陣屋跡にある顔はめパネル。向かって右が「柳生十兵衛三厳」。左は「柳生石舟斎宗厳」。名だたる剣豪たちの顔はめが楽しめるのは柳生だけ!

柳生陣屋跡@奈良市-03
柳生陣屋跡は、ちょっとした石垣が残る程度で今は何もありません。ここから道路を挟んだ位置にある柳生家の菩提寺「芳徳寺」や柳生家墓地にも立ち寄ってみてください



大きな地図で見る


■旧柳生藩家老屋敷

HP: http://narashikanko.jp/kan_spot/kan_spot_data/w_si100.html
住所: 奈良県奈良市柳生町155-1
電話: 0742-94-0002
閉館日: 年末年始(12月27日~1月4日)
営業時間: 9:00 - 17:00
拝観料: 大人 350円
駐車場: 近隣に有料駐車場あり
アクセス: JR・近鉄奈良駅から、柳生・邑地中村行バスで50分「柳生上」下車、徒歩5分

※実際に拝観したのは「2010年11月14日」でした






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