明治時代の煉瓦造りのモダン建築『奈良少年刑務所』
せっかく般若寺界隈までやって来たので、以前からぜひ見てみたいと思っていた『奈良少年刑務所』を外から眺めてきました。普通に考えれば「刑務所に何の用?」ということになりますが、ここの建物が、明治時代の煉瓦造りのレトロでモダンなものだと聞いていて、ぜひ一度見てみたかったのです。
レンガ造りが美しいレトロ建築物
この「奈良少年刑務所」という建物は、全国8ヶ所ある少年刑務所の一つです。以前は「奈良県監獄署」という名称で、「明治の五大監獄(千葉・金沢・奈良・長崎・鹿児島)」と呼ばれていた時期まであったのだとか。
1908年に完成した建物で、ジャズピアニストの山下洋輔さんの祖父「山下啓次郎」という方が設計を担当されたのだそうです。煉瓦の模様が美しい「ロマネスク様式」の建物で、明治時代の建物の魅力が存分に感じられます。
ややメルヘンチックな印象もある正門で、一瞬、ここが刑務所であることを忘れてしまいそうになります。しかし、建物の前には、殉職者を祀る碑が建っていたり、門番の方の詰め所らしきものがあったり、煉瓦の塀の上の方には有刺鉄線らしきものも見えたりと、さすがに刑務所らしい面も見受けられます。
しかし、夕方の人気の無い時間に行ったためか、ものすごい静けさの中で明治時代の建物がある姿は、どことなく現実感が薄い光景にも見えました。
般若寺から程近いところにある「奈良少年刑務所」。もちろん中に入ったりするわけではなく、明治41年(1908年)の煉瓦造りの美しい建築物を見に来ました。一見したところ、それが刑務所だとは思えないような、どこかメルヘンチックな雰囲気ですね
明治時代の美しい建築物であっても、やはりそこは少年刑務所。昔は「奈良県監獄署」と呼ばれていた正真正銘の刑務所です
美しいレンガ造りの正門。「ロマネスク様式」というそうです。塔の屋根の部分や、門扉の上のガラス窓の部分など、明治のモダンを感じさせますね
正門を別角度から。延々と煉瓦造りの塀が続いていることが分かります。塀の高さは5メートルほどでしょうか。内側には有刺鉄線らしきものが見える部分もありました
正門の脇の係員の方の詰め所でしょうか。この日は時間が遅めだったためか、もう無人でした
クラシックな建物はモノトーンが似合うということで、こんな一枚も((曇り空だし、もう夕方だったし・・・)
正門から覗いた「本館」。こちらも中の様子はうかがい知れませんが、とても端正な2階建ての煉瓦造りの建物です。かなり天井が高そうな雰囲気ですね
正門から少しカメラを横に振ったところ。他にも煉瓦造りのいい建物が並んでいるようです。そんな様子は全く伺えませんが、この建物の中での生活は厳しいものなんでしょうね
刑務所の敷地の北側面にまわってみましたが、まだ煉瓦造りの塀が続いています。まるでどこかの倉庫街にでもいるようです。ちなみに、裏側(西側)は普通のコンクリート塀になってました
奈良少年刑務所のグラウンド。妙に高いフェンスがそれっぽいです。映画の1シーンで見るようで、どことなく現実感に乏しい感じがします
ついでに「奈良ドリームランド」跡地にも
また、全く関係はありませんが、近くに来たついでに一昨年閉園した「奈良ドリームランド」跡地も覗いてきました。
・・・とはいえ、もちろん敷地内は立ち入り禁止のため、勝手に入るワケにはいきません。道路沿いからジェットコースター跡を眺めるだけなんですが、やっぱり閉鎖してしまった遊園地らしい黄昏が感じられますね。
私は実際にここに入ったことはありませんので、どんなところかは分かりませんが、こんな光景は日本全国で見られるのでしょう。時代の流れとはいえ、ちょっと切ないですね。
ついでに少しだけ足を伸ばして、閉園している「奈良ドリームランド」の前まで行ってみました。遠くにエントランスの建物とジェットコースターが見えますが、もちろん敷地内は立ち入り禁止になっています
夕暮れ空に見える、もう動かないジェットコースターの線路が寂しいですね
■奈良少年刑務所
住所: 奈良県奈良市般若寺町18
電話: 0742-22-4961
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」下車。青山住宅行バス「般若寺町」下車、徒歩3分
※9月上旬の週末に「奈良矯正展」という、全国の刑務所で製造した商品の販売会があり、その日だけは中に入ることができるのだそうです。
■詳しくはコチラのページをご覧下さい
奈良倶楽部通信: 奈良少年刑務所見学ツアー
■この手の建築がお好きな方はこのサイトもどうぞ
近代建築散策